ナポリの民謡やオペラなどを少年期、青年期と移りゆく多感な時期に体感しながら、やはり夢の国イタリアへ向かう原動力として欠くことのできないのが、いまもって脳裏から離れないイタリアの映画音楽であったように思う。
「ミラノの奇蹟」、「屋根」、そして「ひまわり」など20世紀の中頃に数々の名作を生み出したヴィットリオ・デ シーカ監督の「自転車泥棒」という作品がある。イタリアのネオレアリズム、貧困の時代世相を描写したこの映画に魅せられてイタリアへの思いが膨らんだわけではない。作品の中で見え隠れしている絶望やメランコリックな感情を見事に紡いだアレッサンドロ・チコニーニの音楽に惹かれたからである。カラー映像となって久しかった当時、そこまで感情を鼓舞することのない単調なメロディの繰り返しがなんともモノクロの描写にマッチしていたのか、深く印象に残ることになる。
あるいは「ラストコンサート」、「メリーゴーランド」という主人公の夭折を扱った、物語の中に深い思想は感じさせないまでも、無条件に観客の涙を引き出す映画とあって、わたし自身も直接に感情を引き出されたようである。
フランシス・レイ不朽の名作に付随する音楽として世界中に広がった「ある愛の詩」のセカンドバージョン的な面持ちではあろうが、ステルヴィオ・チプリアーニによる「ラストコンサート」、フランコ・ミカリッツィの「メリーゴーランド」とストーリーを後ろで支える音楽としては申し分のない表情を持っていたように思う。双方ともに中学生の時に観た映画だけに、イタリア人の書き下ろしたそれらの音楽は、当時、多感の年頃であったわたしの心を十分過ぎるほど満たしてくれたようであった。
ニーノ・ロータは言わずと知れたイタリア映画における音楽の巨匠である。古典とはいえども自分のこども心に深く浸透した映画「ロミオとジュリエット」との出会いが最初であり、音楽は前出の「ある愛の詩」とともに深く刻まれた。
またある時、FM局でロータの特番を聴いており、その折に印象に残ったのがフェリーニ作品の「8 1/2」、「アマルコード」、そして「ゴッドファーザー」であり、漂ってくるイタリアの香りに誘われたものである。
イタリアへやってくる直前にダメ押しというか、満塁ホームランに値する一撃となったのがトルナトーレ作品の「ニュー シネマ パラダイス」である。映画はもちろんのこと、エンニオ・モリコーネの反則ともとれる、やってはならない琴線の乱打は、わたしにとってイタリアへの導線といっても過言ではない。その映画と出会った三日後にエアチケットを購入するくらいの衝撃であったわけである。
30余年この国に暮らして、まだまだ巡り合うべき名画・名曲がふんだんにあるわけであるが、イタリアに身を委ねつづける理由としてこの国に眠る心揺さぶられるような素晴らしきものを再発掘したいという思いが大きい。
堂満尚樹(音楽ライター)
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【パンフレット完成!】
ウィーン滞在7日間
2025年4月1日(火)~4月7日(月)
陽春の中欧~ウィーン・プラハ・ドレスデン9日間
2025年4月7日(月)~4月15日(火)
◆「ウィーン滞在7日間」のパンフレットが完成いたしました!
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【パンフレット完成!】
バーデン・バーデンイースター音楽祭
&ウィーン 10日間
2025年4月14日(月)~ 4月23日(水)
ヨーロッパ名門オーケストラめぐり!
ウィーン&ベルリン&アムステルダム 11日間
2025年5月3日(土)~5月13日(火)
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2025年はベルリン・フィルが演奏するラスト・イヤー!K.ペトレンコ&K.マケラのバーデン・バーデン音楽祭とウィーンでティーレマン指揮《アラベラ》、コーバー指揮&K.F.フォークト出演《パルジファル》ヨンチェーヴァ&ファビアーノ、サルシ出演《アンドレア・シェニエ》を鑑賞!
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「ウィーン・フィル」、「ベルリン・フィル」、アムステルダムで「マーラー・フェスティバル」鑑賞!!
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華麗なるメトロポリタンオペラ!
陽春のニューヨーク6日間
2025年4月24日(木)~2025年4月29日(火)
ゴールデンウイーク特別企画!
華麗なるメトロポリタンオペラ!
陽春のニューヨーク6日間
2025年4月30日(水)~2025年5月5日(月・祝)
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旬のキャストが揃ったシーズン後半注目のMETライブビューイング撮影公演!幸福感あふれる音楽で描かれるモーツァルトの大人気名作オペラ《フィガロの結婚》、話題の新演出!A.ブルー&E.ガランチャ&B.ジェイド出演、壮大華麗な舞台が見どころの《アイーダ》を鑑賞!
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音楽ツアーデスクのおすすめ情報!
ベートヴェン「第九」初演から200周年。
本国で即完のプレミア・コンサートが日本限定で公開決定!
ベートヴェンが完成させた9つの交響曲の最後となる「交響曲第9番 二短調 作品125」、通称「第九」が今年で200周年を迎えました。その「第九」が1824年に初演されてから、ちょうど200年となる記念すべき日の2024年5月7日に、歴史ある“黄金ホール”で特別公演が行われました。
そしてこの度、本国で即完となったこのプレミア・コンサートの映像を、
日本限定で2025年1月3日(金)より、全国の映画館にて一週間限定公開されることが決定しました!
さらに、
大晦日の12月31日(火)では、東劇・新宿ピカデリー・ミッドランドスクエア シネマにて、特別先行上映も実施
いたします!
響き渡る至高の音楽。映画館が‟黄金のホール”に!
心を満たす“歓喜”をあなたに―
世界最高峰ウィーン・フィルハーモニー管弦楽団
×クラシック音楽界が誇る巨匠ムーティ
指揮は、音楽界の“帝王”とも呼ばれる、現代を代表するイタリア人指揮者
リッカルド・ムーティ
。1971年以降、ほぼ毎年ウィーン・フィルと共演し続けており、2025年の「ウィーン・フィル ニューイヤー・コンサート」も指揮予定。そして、巨匠ムーティのもと演奏するのは、ウィーン国立歌劇場管弦楽団の団員から選ばれたメンバーで構成された、
ウィーン・フィルハーモニー管弦楽団
。チケットの購入権を得られる定期会員になるのに10年待ちと言われ、来日コンサートも即完となるほど日本や世界各国から高い人気を誇る世界最高峰の管弦楽団です。
世界最高峰の指揮者×管弦楽団で贈る、日本でしか体験できない極上のプレミア・コンサートをどうぞお楽しみに!
大晦日12月31日(火)に特別先行上映 決定!
なお、12月31日(火)には、東劇・新宿ピカデリー・ミッドランドスクエア シネマにて特別先行上映を実施いたしますので、一年を締めくくる大切な日に、極上の「第九」をどうぞご堪能ください!
指揮:リッカルド・ムーティ
出演:ウィーン・フィルハーモニー管弦楽団、ウィーン楽友協会合唱団、
ユリア・クライター(ソプラノ)、マリアンヌ・クレバッサ(メゾソプラノ)、
マイケル・スパイアズ(テノール)、ギュンター・グロイスベック(バス)
収録:2024年5月7日 ウィーン楽友協会“黄金のホール”
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